大きい苗?小さい苗?
ホームセンターなどでは春に植える苗がたくさん売っているかと思います。こちら那須高原では少しずつ出始めたところですが、あたたかい地域ではたくさんの苗が並んでるかと。
いよいよ春なんだなと思いますよね。
種まきから苗になるまで、どれくらい時間がかかっているんだろう・・・
温度管理、水分管理などの要素で変わってくるわけです。
写真の苗の種まき時期は左から
3月19日、3月2日、2月14日
真ん中と右があまり差がないように見えるかもしれませんが、真ん中は本葉2~3枚、右は本葉4~5枚。5枚目が見え始めたらそろそろ定植の時期。
季節的に寒いというのもあるし、苗を育てる温度が低めなので、ここまで育つのに40日程度かかっています。
専門の苗屋さんが育てれば同じ大きさになるまでもっと短い日数で仕上がります。
さてその苗ですが、ホームセンターで売っているのはもうちょっと大きいかも。本葉7~8枚程度かな?
こたろうファームでは本葉5枚目が見え始めたら定植しますが、ホームセンターのそれはそれ以上の本葉の数があるのにまだ定植せず販売されています。
これはその苗を作っているセルやポットのサイズの問題。
ホームセンターのはうちで使っているのより随分大きいです。
うちで使っているのは200穴のセルトレイというもの。苗をつくているセルのサイズは23mmX23mm程度。ホームセンターのものはたぶん40mmX40mmかそれ以上かと。
セルのサイズが大きいということはそれだけ苗を大きくしても問題ありません。
セルやポットから苗を取り出したときに、根っこがたくさんあるかと思います。
取り出して崩れない程度が定植するちょうどいい時期。これが土が見えないくらい根が回っていると定植時期としては遅れています。とはいえ根が白かったらまぁなんとかなります。
これが根が茶色くなっていたらかなり遅れており、あまりうまく育たない可能性があります。
小さいセルだとあっという間に白くなり、下手すると茶色になります。
そう、気づいた方もいらっしゃるかもしれません。
大きいセル、大きいポットで育てると、畑に植えるまで若干ですが時間を稼げるんです。
そういうこともあり、売っている苗は大きめのポットで販売しています。
大きめだとなにかしらの事情で定植が遅れても問題ないわけですが、大きい分土をたくさん使います。
2センチ四方のセルトレイと4センチ四方のそれとでは、土を使う量が8倍違います。つまりその分余計にお金がかかるし、場所も必要だし、大きい分長く水やりなどの管理も必要。
手間、時間、費用とを考えると、大きいので育てるのは農家としては商売としては成り立ちにくくなりますね。
でも、畑に植えてから収穫までは大きい苗のほうがもちろん短くてすみます。収穫までが短い分畑での管理作業、雑草や虫とたたかう期間も短くなります。
なかなか難しいところです。どちらに自分の手間をかけるか。
家庭菜園なら大きめの苗で比較的短期間で収穫を迎えたほうがいいかもしれません。小さいと風に煽られて折れたりするリスクも高いですし。
ちょっとまとめてみます。
※いろんなご意見あるかと思いますが、私見です(笑)
小さい苗
メリット
・コストが小さい
・管理期間が短い
・場所をとらない
デメリット
・定植のタイミングが早く遅れが致命傷になるかもしれない
・畑での管理作業が長い
大きい苗
メリット
・収穫まで短い
・畑での管理作業が短い
・苗を扱いやすい
デメリット
・コストが高い(価格が上がる)
・苗をつくる管理が長い
どちらがいいかはなかなか難しいところ。
農家としては計画的に作っていく、そしてコストを低く考えなければならないので小さい苗を使います。
実際使う土の量が8倍になるととてもじゃないけどやってられないし、大きいと定植するための運搬も、定植も手間です。
とはいえ、苗が大きくても小さくても、苗作りに手間をかけ、ちょうど良い時期に畑に植え、畑でも手入れをしてあげればおいしい作物ができます。
試せるのであれば大きい苗、小さい苗、両方挑戦してみてください。それぞれに楽しみがありますよ。