
【食べチョクアワード2024 ~未来につなげる~ 受賞インタビュー】逃げたアヒルから生まれた農業…⁉︎福島の︎田んぼとお客様を繋ぐ想いと、紡ぐ地域の未来 #4
2024年に人気のあった生産者を表彰する「食べチョクアワード2024」において、「米・穀物部門」第1位を受賞された、福島県広野町でお米を生産する「にいつまオーガニックファーム」新妻さんに、食べチョクスタッフが、農業への想いや商品のこだわりについて、お話をうかがいました。
アヒルによる有機農法とコシヒカリでの日本酒造りの挑戦。
早速ですが、にいつまオーガニックファームさんが扱っている食材の特徴や、こだわりのポイントなどを教えていただけますか?
にいつまオーガニックファーム)
扱っているのは、お米とそこに付随した加工品です。うちのお米は、「有機栽培」と「特別栽培米」という、農薬などを少し減らした2つを栽培をしています。
たまたまペットでアヒルを飼っている時期がありまして、そのアヒルが逃げて田んぼで遊んでいるのを見て、「*アイガモ農法」と変わらない効果が得られるので、そのままでいいかな、と思って今までやってきています。
お米の育っていく緑と、アヒルの白のコントラストも良くて、もう20年ぐらい、うちはアヒルで有機農法をやらせていただいていています。
*アイガモ農法:水田にアイガモのヒナを放飼し、無農薬による安全な米と鴨肉を同時に生産する農法。
飼っていたペットが逃げ出したのがきっかけというのは、面白いですね!お米を使った加工品はどのようなものがありますか?
にいつまオーガニックファーム)
今はそのお米を使って、日本酒を販売しています。お酒を始めたきっかけは、2011年の東日本大震災でした。
当時、うちの父が個人の農家としてやっていた時は100名ぐらい顧客の方がいらっしゃったのですが、震災の影響でご予約いただいたほぼ半分が残っている状況で全てキャンセルになってしまったんです。このお米をうまく活用できないかなと思っていました。
そこで、同じく県内の被災地の浪江町という港町にある鈴木酒造さんとつながりがあったので、廃棄しないといけなかったお米を日本酒にしていただいて、当時、ご支援いただいた方々に配るような形で、試しに始めたのがスタートになります。
普通、お酒は酒米を作って、それを仕込むんですけれども、うちは有機栽培のコシヒカリで日本酒を作っているので、最初は味に自信がありませんでした。というのも、本来コシヒカリは食べる用のお米なので、日本酒用にするときに、柔らかすぎて精米している途中で割れてしまうんです。
ただ、うちの有機のコシヒカリは、一粒一粒をかなり大きく仕上げることができているので、日本酒にするぐらいに削ってもちゃんとお米が残ってくれて、だいぶ美味しく仕上げることができました。
宣伝は大きくしていなかったのですが、「この地域で隠れたうまい酒があるらしいぞ」と話題になったので、これも一本事業としてやってみようとなり、10年くらい小さいロットで販売させていただいています。
最もやりがいを感じる瞬間は?
にいつまオーガニックファーム)
やっぱり、収穫の時ですね。「ああ、この時期が来たな」って、一番やりがいが高まりますね。
こういった都会から少し離れたところの地域の風景を作っているのは、やっぱり農業かなと私たちは思っています。その中で一番風景がきれいな時期というと、秋の実ったお米が黄金に輝いている田んぼが広がっている風景で、その中で収穫をしているときが一番、農業やってて楽しいなと思うところですね。
うちは、収穫が終わった次の日から発送を始めるので、忙しさの第二ステージに入っていって大変なんですが、食べチョクさんでお客様から多くの口コミやメッセージもいただけるので、すごく楽しみですね。
お客様との繋がりを感じられる丁寧な取り組み。
食べチョクを利用する前と後で、変化はありましたか?
にいつまオーガニックファーム)
今までうちの父がメインでやっているときは、既製品の袋で送っていましたが、お客様に届いた時に見た目でも喜んでいただきたいと思い、パッケージを妻と一緒に考えて新しくしました。また、最近はお米をお届けするだけでは味気ないな、と思い、毎月「にいつまオーガニックファーム便り」を作って一緒に送っています。最近の出来事や、先日の米騒動のこと、暑さが長く続いている時期は、高温で植物の方が弱ってます、というようなことを書いたりしています。
あとは、手書きで一言、サンクスカードを入れたりして、できるだけお客様にお米だけではなくて、「うちとつながっている」というところを感じていただけるような取り組みをしています。
そういった取り組みをはじめてから、口コミの数が伸び始めたり、新規のお客様が入ってきたり、リピート率もかなり上がってきたりして、お客様に親近感を抱いてもらえてるのかなというのを、ここ2、3年は強く感じていますね。
お客様との交流も増えたと思います。印象的なエピソードを教えてください。
にいつまオーガニックファーム)
そうですね、食べチョクのお客様全員、いい人なんですよね。皆さん優しく接していただけているので、本当に感謝しかないです。クレームを受けたこともないですよ。
年間2,000〜3,000人のお客様に送らせていただいてるので、毎月200件ぐらいは発送してるんですけども、入れ間違いが起ってしまったことがあったりもありました。
コシヒカリを頼まれたお客様に、ミルキークイーンを届けてしまったとか。そんな時も快く、「今回、これも試させていただくので、代わりの商品の発送は大丈夫ですよ」と、本当に優しく接していただいて、本当に感謝しかありません。
地域の農業の未来を見据えて
今回のアワードのテーマ「未来につなげる」に関連して、今年特に取り組んでいきたいと思っていることや、数年後に実現していきたいことはありますか?
にいつまオーガニックファーム)
新規就農や研修の部分に力を入れて、うちの農業のやり方を皆さんに共有していけたらなと思っています。どうしてもこの地域は、農家になる方が少ない地域なんですが、その一方で、農地がどんどん余っていっているという実状もあります。
この地域で、農業を主として動くプレイヤーにどんどん増えるためには、うちが売り上げが立たずに、他の農家さんと変わらないような状況では良くないので、しっかりと経営もしつつ、お客様とのコミュニケーションも大切にしながら、「こういう経営の仕方をすると、農業を一つの職業として選んでも問題ないんじゃないか」と思ってもらえるような未来を描きながら、取り組みを強めていきたいなと思っています。
ありがとうございます。最後に、この記事を読んでいる方や、日頃購入されているお客様に、メッセージをお願いします。
にいつまオーガニックファーム)
日頃より多くのお客様からお買い求めいただき、そして多くのメッセージもいただいており、感謝しかございません。さらには、今回お客様のおかげで、食べチョクアワードの米穀類部門で1位を獲得することができました。
今後も末永く、多くのお客様に選んでいただけるように精進してまいりますので、私たちにいつまオーガニックファームをよろしくお願いいたします。
にいつまオーガニックフォームさん、今日は素敵はお話を聞かせていただき、ありがとうございました!
結びに
今回のインタビューを通じて、丁寧にお客様と向き合われている姿勢や、自身の農園だけに留まらず、地域全体の農業振興にも力を注いでいきたいというお話が心に響きました。
農業の魅力や米の価値を伝え、地域全体を豊かにしていく、にいつまオーガニックファームさんの未来につながる活動に思いを馳せながら、かわいいアヒルたちによる有機農法の美味しいお米をぜひ食べてみてくださいね!
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「食べチョクアワード2024」受賞生産者さん
食べチョクアワード2024を受賞した生産者さんはこちらから
https://www.tabechoku.com/feature_articles/award2024_jyushosha
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