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熊本県 天草市
筒井洋充(天草農工房ふぁお)
筒井 洋充
私たちは2016年に天草に移住してきました。「働く場所、仕事は自分で選ぶ」を掲げて、『天草農工房ふぁお』として柑橘の生産・販売する農業を中心に、食品製造業・飲食業・旅館業にも取り組んでいます。
2021年夏、同じ集落の漁師とのコラボしたマルシェ(narino marché)をスタートしました。
一つ一つは小さな規模だけど、相乗効果とそれに関連した経験をもとに、スモールビジネスをパラレルに行うことで、地方で気ままに暮らすを実践しています。
これまでの農業は、家族みんなで家業である農産物を作るというスタイルが一般的でした。コロナをきっかけにいろんな業種・業界で複業がはじまっていますが、まだまだそれは限られた地域・職種の人の話だと思います。
だって、めずらしいからニュースになるわけなので・・・
一方、私たちの働き方は農業とそれぞれの生きがいや楽しみを組み合わせたものです。
親戚や古くからの知人や友人がいなくても、土地になじみながら地に足をついた生活をしていけるというチャレンジでもあります。
2021年初夏から、同じ集落の漁師「恵比須丸」と販売協力や体験系についてより推進していきます。「いつまでも子どもの笑い声が響くまちに」を目指して持続可能な地域を目指します。
生産者のこだわり
慣行農法を継続しながらも農薬不使用に挑戦
当園の栽培方法の基本は、慣行農法です。
なぜなら当園で栽培する8割は不知火(しらぬい)という品種。
「デコポン」という名前が有名ですが、JAへ出荷しなければ「デコポン」を名乗れません。
それでも、一部では農薬不使用に挑戦しています。
みかん山の最上段にある不知火と文旦の仲間、大橘(天草文旦)の全部に対して農薬の使用を2019年6月を最後にやめました。
農薬を使わずに栽培をはじめた最初のシーズンである2020年、食べチョクでの販売をスタートすることにしました!!!
農薬や化学肥料の過敏な方でも召し上がっていただけるようになりました。
農薬の使用を止めたい理由は、身体に影響ある方のため、自然を守るためと言うこと以前に、自分の身体を大切したいからです。これが正直なところ。
なぜなら、科学的には使用基準を守れば問題ないとされており、大学の先生も「今の農薬の毒性は、昔と違って一瓶飲んでも死ねない」と話されていました。
そのため、農業としての使用は問題ないと考えています。しかし、農家はもっとも農薬の影響受けることになり、私自身、ある農薬では発疹が出たりします。
「奇跡のりんご」の木村さんも奥様の体調不良のために農薬の使用をやめたそうです。木村さんの頃は、使用する農薬も今より強かったんでしょうね。
農薬を使用しないことも様々な意味合いがあります。でも、そうして実った果実を必要としている方がいるのであれば、頑張って栽培を続け、少しでも多く区画を農薬を使用しないで栽培できるようにしていきます。
もちろん除草剤も使用していません。それどころか慣行区も草を出来るだけ刈らずに益虫も活躍してくれるように管理しています。(写真は施設の様子)
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「持続可能性」をできることから。耕作放棄地の維持もSDGs
農業で環境に配慮するとなると「化学肥料や農薬を使わない」ことを思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、そうした農業のスタイルは収量が安定しないため、就農してすぐに挑戦するにはリスクが高い農法だと考えています。
農業の「持続可能性」として他に何ができるか・・・
農薬や化学肥料不使用とは異なるアプローチの方法はないか?
そこで考えたのが、耕作放棄地を免れて引き継いだ約100アールの農地をしっかりと維持することです。
近年、注目を集める「持続可能性」ですが、耕作放棄地を維持することも持続可能性を追求する1つの方法であると考えています。
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草刈り機をガソリンから電池式へ。きれいな青い空を守る
もう1つ、当園の草刈り機を電動(充電式)に変えました。
農作業では農業機械等で排ガスを撒き散らし空気を汚します。
せっかく農薬や化学肥料を使わなくても、自動車と違って廃ガス規制がゆるいガソリンエンジンの農業機械をガンガン使って空気を汚しては本末転倒ではないでしょうか?
ただ、電池式の草刈り機でもそのままでは火力発電の電力を使うので、「自然電力」会社と契約し、100%自然エネルギーのSE100コースを選択しました。ちょっと割高で、価格も変動するリスクがありますが・・・
自然エネルギーの電力は農業機械だけでなく、倉庫や加工場の電力もカバーしています。
その他にも、作業を複合的・集中的に行うことで、草刈り回数を減らしています。畑へ行く回数を減らすことで、移動が減るので結果的に排ガス抑制につながると思うのです。
当園の「みかんの木のオーナー」のお客様に果実の成長記録を写真として送信していますが、オーナーさまからは「天草の空はいつも青いですね!」とのコメントをいただいています。
いつまでも青い空であるように、今後も出来ることを少しずつ積み重ねていきます。
詳細情報
経歴・沿革
1991年4月 エアーニッポン株式会社
2006年10月 全日本空輸株式会社
2014年4月 株式会社高尾農園
2016年11月 天草農工房ふぁお(fao agrocommunication)
メディア実績
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