アフコ秋山農場の投稿一覧

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2024年9月号

『 コメ騒動と優美な屍 』

 7月~8月、スーパーの売り場にコメがない、お米屋さんにコメがないといったことが起こりました。(と、聞いています。)令和のコメ騒動ですね。実際にうちにも注文が押し寄せ、生産者サイドでもパニック状態。せっかくのご注文にもかかわらず、多少お断りしなければならないほどでした。その節は失礼しました。
コメの値段でいえば、玄米で取引される流通市場に「米価」と呼ばれるものがあります。玄米で60㎏(1俵)で10~100俵とか1トン単位とかの価格なので、一般の消費者には少し縁遠い存在かもしれません。その米価が、この夏の初めくらいからあれよあれよと上がりまして、20年ぶりの高値を付けました。すると、買い占めようという人や、とにかく自分の家のぶんだけでも備蓄しなきゃという人や、マーケットにさまざまな欲と不安が交錯して、あっという間のコメ不足となったのです。
 報道によれば、米価急騰の理由は、天候不順による作柄の不安定、インバウンドによる外食産業の需要急増、コメ生産者の高齢化による生産能力の減少、といわれています。もちろん、どれも当たっていると思います。ただ、わが家は田んぼに囲まれたなかで暮らしているので、「コメがないって、は?? あるだろ? 見渡すかぎりコメ、コメ、コメだよ。えっ? コメがない?」と何度も聞き返したくなるような心境です。
 思わず「優美な屍(しかばね)」というのを思い出しました。

 「優美な屍」というのは、シュールレアリスムの作品制作の手法の一つです。絵や詩や文章を作るとき、共同ですると意外なおもしろいものが出来る、そんな遊びのようなものです。例えば4人で集まって、絵であれば自分のパートだけ描く。詩であれば1人1行だけ書く。それをあとで持ち寄ってくっつけると意外な作品が出来ます。多くの人は遊んだことがあるでしょう。
 いつ、どこで、誰が、なにを、どうした・・・。じゃあ、これをほかの人のを見ないで考えて。「いつ=僕たちが生まれた朝に」、「どこで=新宿駅の8番線ホームで」、「誰が=3頭のジャイアントパンダが」、「何を=使い古した封筒を」、「どうした=猛烈に洗い始めた」・・・ある朝、新宿駅で、パンダが、封筒を、洗い始めた。はーい、シュールですね~。

 都会の消費者は、自分の炊くご飯のことだけ、考えるでしょう。政治は、選挙対策として市場へ介入する機会を、報道機関は、注目を集めるニューストピックを、探しているでしょう。いっぽう農村では、JA農協は自分たちの利益を、農民は自らの従順さと農作業だけを、見つめています。コメを取り巻く世界では、それでシュールな現象が現実に起きてしまうのだと思います。
 分業が進んだといえば聞こえはいいですが、結局みんな自分の持ち場だけで、全体に気を配ることはしません。反省を込めて、痛切にそう思います。都会の消費者のみなさんには、農業や農村について関心を持ってほしい、もっと知ってほしいと思いますし、農政に関わる政治家も、補助金をばらまいて票を買うみたいなことでなく、長い目でみて農業という産業を強化してほしいと願っています。そして私たち農民は、もっと情報発信をするべきなのでしょう。どうせ俺たちゃ田舎もんだとひねくれずに、都会の人に歩み寄る。食べるものを作り出すというのは、こんなことなんですと丁寧に説明していく。
 こんなことが、今回のコメ騒動の教訓です。私たちは、お買い上げくださるお客様も、 「コメ作りの仲間」だと思っています。遠慮なくご意見を出してもらって、良いものを一緒に作っていきましょう。屍は乗り越えるものです。

 と、大団円でまとめたいところですが、ひとつだけお願いがあります。商品価格の値上げを検討しています。あー、お前、コメ騒動で便乗値上げだな、なんて言わないでください。
 実は、肥料、農薬、燃料、農業資材、機械、そして人件費と(地代だけは今のところ据え置きですが)それ以外は、もう軒並み上がっています。肥料なんか数年前の3倍近くになりました。円安や世界的なインフレの影響です。コメ騒動がなかったとしても、心苦しいお願いをせざるを得ない状況にあるのです。
 決まり次第、ご案内申し上げます。年間でご予約いただくと、1年ぶんお取り置きしておきますし、ちょっぴり割引にもなりますので、ぜひご検討ください。どうぞご理解を賜りますよう、お願い申しげます。
 まもなく新米の刈り取りが始まります。楽しみです。 
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いつもご愛顧、応援を、ありがとうございます。

イネは、青年期になりました。

葉が、グングンと育ち、背が高くなります。

新潟は、粘土質な土壌なので、今の時期は「溝切」をします。

田の水を抜いて、土を少々乾かし、溝を掘って更に水を切ります。

そうすることで、土の中に酸素がいきわたり、根が育ちます。

この時期には、早朝に、トンボが「羽化」します。

田の中にいた「ヤゴ」が、イネの茎に上り、殻から「脱皮」して

羽を伸ばして、トンボになります。

私たちの田んぼには、トンボがたくさんいます。

朝、羽化したばかりのトンボがいっせいに飛び立つ姿は壮観です。

写真1:ヤゴから出てきたところ

写真2:羽を広げて、伸ばしているところ

写真3:伸ばした羽を、乾かしているところ

写真4:完成


生き物の生命力は、たくましいです。
トンボになるのに、こんなにも厳しい環境を生き延びてやっと。
もちろん、途中で力尽きてしまうものや事故に遭うものもいて、
生きる力のすさまじさを感じます。

イネは、そんな「食物連鎖」の一員として、成長しております。
新米まで、まだ、いくつものステップがありますが、
今年も美味しいお米をお届けできるように、
丁寧に田んぼを見守りながら、美味しいお米に仕上げてまいります。

新潟・アフコ・秋山農場をよろしくお願いいたします。
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この投稿をした生産者

新潟県 上越市板倉区

アフコ秋山農場

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