果実庵とざわ

秋田県 鹿角市

果実庵とざわ

創業:2001年06月
食べチョク登録:2018年08月

食べチョクAWARD受賞歴

受賞件数:1件

  • 果物

「果実庵とざわ」は秋田県鹿角市で営まれているりんご農園です。
オーガニック栽培を軸としたりんご作りを自己表現として取り組んでいます。
平成27年に化学農薬不使用の認証を取得してからも常に前を見据える取り組みをし、今ではオーガニック志向のお客様、お取引様、そして味も評価をいただきミシュラン三ツ星レストランなどでもご利用いただいております。

お客様から何代も愛されるよう、100年以上続くりんご畑がこの先もあらたな物語を作っていけるよう、将来を見据えながら取り組んで参ります。

現在は鹿角圃場、秋田市圃場を合わせて約9ヘクタール、りんごは約20種、その他梨、プルーン、ブルーベリー、桃、さくらんぼなどを栽培してます。

生産者のこだわり

生産者のこだわり

就農した経緯ー100年続く畑を守る

もともとりんご農家でしたが、子供の頃は農薬がきらいで継ぐつもりはありませんでした。
子供の頃から陸上競技のマラソンに打ち込み、将来は教員になりスポーツの指導者になることを目標に、教員免許を取得し、競技実績を積むため三重県の実業団へ進みました。
大学、実業団と寮生活を送る中で、秋になると実家からりんごが送られてきました。チームメートや寮の関係者にお裾分けをしてたら、みんなに美味しいと喜んでもらえました。りんごが送られてくると、お裾分け目当てで部屋に行列ができるほど。
これまで、りんご作りには感情がまったく湧いたことはありませんでしたが、次第に故郷のりんご、そしてそれを作る祖父母に誇りを持つようになりました。
26歳の夏、栽培の中心だった祖父が体調を崩し、栽培の継続が困難になったと連絡がありました。その時はまだ三重県の実業団に在籍し、もう少し競技を続けたい意志がありました。将来は教員でスポーツの指導者となり子供たちを育てたいという夢がありましたが、故郷の畑を守ることを選択しました。教員でなくても、食でスポーツ選手を目指す子供たちを支えていけるような生産者へと、前向きな気持ちでした。

当時、私はインターネットを始めた時で、ネットで情報を収集することができました。調べると、消費者も農薬に敏感になり減農薬にシフトする生産者が増えていると感じたことを覚えています。
陸上部を退部し、在籍していた会社を退社するとき、当時の監督やコーチ、トレーナーは、農業をやるなら農薬に頼らないもの作りをとのお言葉を頂きました。
私の農薬嫌い、消費者の傾向、そして周りからの助言等もあり、農薬に頼らない栽培法を選択しました。
26歳の秋に帰郷、アスリート時代の情熱をりんご栽培に注ぐことを決意し、営農がスタートしました。

生産者のこだわり

有機栽培(オーガニック)で挑む

鹿角市は盆地で寒暖の差が大きく、果樹栽培に適した場所です。日当たりがよく、周りを見渡せば山々に囲まれているのが分かります。

私の圃場は見晴らしが良いので、私自身お気に入りの場所です。限られた区画の中で、生産者が自分の好きなロケーションで作業をできるのは一つの贅沢かもしれません。

現在は離農者の畑を借り受けながら、栽培面積を増やしています。その時の選ぶ基準は、見晴らしの良さ、日当たりの良さ、自宅からの距離、そして熊が出ないことです。しかし、先日の作業で、熊が畑に来た形跡がありました・・・(泣)

りんご栽培の歴史としても、青森県が栽培を開始したすぐ後に、私の先祖の兎澤徳蔵が鹿角市で栽培を始め、100年以上と長い歴史があります。

先代たちが産地として切り開き長年かけてりんご栽培に適した土壌など環境を整えてくれたことで、私も今当たり前のようにりんご栽培ができていると感じています。

生産者のこだわり

オーガニックりんごのこだわりー有機栽培を追求する

栽培技術を高め、美味しいりんごを目指すのは生産者として当然として、りんご作りを通じて私自身も成長したいと日々考えています。
その想いは、私の和酒好きが一因となっています。美味しい銘柄があるとその蔵まで行き、作り手とじっくりお話をさせて頂くようにしています。国内に美味しいお酒を造る蔵はたくさんあり、その中で私が選ぶのは、最終的に蔵人の作りへの想い・人柄に惚れた蔵のお酒です。
お酒はその年により酒質が変わることがあります。前年より酒質が悪くなることもあります。それでも飲んでその蔵を応援したくなる、そんな気持ちにさせるのは、やはり作り手である「人」が好きだからです。

りんご生産者も国内にたくさんいますが、その中から選んでもらえるよう、そして有機ゆえの失敗の年もありますが、それでも食べて応援していただけるような、そんな「作り手」になるために、自身の成長を意識してりんご作りに努めています。それが結果、りんごの味質の向上へ繋がると思っています。

栽培での散布剤・資材は全て有機JAS適合のものを使用しています。

「農薬不使用は周りの農家さんへ迷惑をかけないことが大前提」実行するにあたり、この言葉を大事にしている結果、化学農薬不使用でも基本を大事に、有機栽培でも安定した品質、収穫量を実現できていると思います。
ただ、有機JAS資材を駆使しても、やはり見た目では慣行栽培よりも劣る確率が高いです。多少見た目が悪くても、これまでお客様には受け入れていただいてますが、それに甘んじることなく、慣行レベルに近づけるようにと目標を持っています。

かつては、有機JAS資材に頼らない、限りなく自然に近い方法で栽培をしたことがありましたが、ほとんど収穫できない状況でした。作業工数、労働時間も慣行栽培の倍です。収穫が殆どないと分かりながらの作業は精神的にも大きな負担で、家族が入院することもありました。仮に収穫できても原価を積み上げると小売で1個500円以上です。
無農薬で環境や生物に優しくても、栽培者や消費者に大きな負担をかけるのは私の望むものではないと、一度減農薬で畑の病害虫密度を抑え、平成26年に減農薬で特別栽培認証、そして翌年、有機JAS農薬のみである程度の収穫の見込みが立ち、農薬不使用で特別栽培認証となりました。「自然」「生産者」「お客様」みんなにフェアな農薬不使用りんごを目指しています。

生産者のこだわり

今後の展望ー農業で食育に携わる

国内全体の問題でありますが、私の地元でも生産者が年々目に見えて減っています。
離農者の畑を借り園地を拡大するにも、今度は労力不足と言う課題もあります。

りんご畑に囲まれた故郷の風景に誇りを持ち、教員になる夢を諦め生産者の道を選びましたので、これからは栽培面積と労力の充実を考えながら、誇りであるりんご園の風景を守っていきます。

また、有機栽培という特性を活かした商品開発も長年取り組んでおります。
「機能性」「嗜好性」それぞれテーマをもった二つの商品案があり、その一つ「機能性」がテーマの商品が今年リリースされます。それぞれ加工品になりますが、「商品を開発した、販売した」、それで終わりではなく、商品の効果や感動を与えられるような取り組みも大事だと思っています。その取り組みも昨年から試作品のモニタリングなどを実施し、商品の活用をモニターに提案しながら取り組んでいます。

作物や加工品を作ったあと、提供するだけでなくお客様に効果の実感や感動を伝える取り組み、それこそが私の目指す営農でもあります。

「教員になり指導者になれなくとも、生産者として人を育てることができる」就農時の想いが少しずつ形になっていくよう、そして地元を産地として次の世代も維持していけるよう取り組んでまいります。

そして、消費者の皆様には食べていただくという形で、時にはご意見を頂戴しながら、生産者である私たちを育てて頂きたい、そんな形ができれば嬉しいです。

詳細情報

経歴・沿革

1975年6月 秋田県鹿角市生まれ
1998年3月 仙台大学体育学部体育学科卒業 保健体育教員免許取得
      (当時は教員を目指していました)
1998年4月 実業団(陸上・長距離)として八千代工業㈱(三重県)入社
2001年9月 引退と同時に、実家のりんご家業を継ぐため帰郷
2002年4月 りんご加工ノウハウを学ぶため、りんご関連会社に勤める
2008年6月 「果実庵とざわ」設立

メディア実績

2019年12月 東北食べる通信12月号
2020年4月  BE-PAL 4月号「刃物物語」
2022年10月 読売新聞

この生産者の商品一覧

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