

鹿児島県 出水郡長島町
山上農園
山上農園は雲仙天草国立公園特別地域内に位置する鹿児島県最北端の長島町にあります。無加温ハウス施設30棟で主に大将季(だいまさき)、不知火を栽培し、ポンカン、サワーポメロ、紅甘夏等を合わせると120a(約12,000㎡)程の果樹専業農園です。
生産者のこだわり

大事なことは、しゃべらない樹と会話すること
私たちが大切にしていること、
「大事なことは、しゃべらない樹と会話すること」です。
これは先代の山上隆之の柑橘作りをするうえでのモットーです。「しっかりと樹と向き合い、注意深く樹を見て観察すれば樹の方から語りかけてくれるから何をすれば良いかが分かる」という先代の教えです。
自分の目で枝や葉のほんの少しの違いを観察することで樹の健康状態や土壌の状態、病害虫の発生状況を把握することができ、灌水や施肥、整枝・剪定、防除(消毒)のタイミングを決めることができます。その結果として最良の果実となり、お客様の満足度を上げることができるというわけです。

良い環境を守り続けてこそ良い農業が出来る
「人間は地球の一部である。人間の勝手で自然を壊すのではなく、良い環境を守り続けてこそ良い農業が出来る」、これも先代の山上隆之から引き継ぐ農業をするうえでの心構え。
栽培には必要最小限の農薬や肥料を使い、自然に負荷をかけることなく持続可能な農業を行うことが大切という先代の教えです。人間もあくまでも自然の一部であり、人間の都合だけで勝手に自然を壊し他の動植物の生態系を壊してはならない、という教えです。
山上農園は、鹿児島県最北端の長島町の北部に位置し、雲仙天草国立公園特別地域内に位置しています。長島町は『温州みかん発祥の地』であり、四方を海に囲まれた温暖な気候であり、年間を通して日照時間も長く、適度な雨が降り、そして、何よりもミネラル豊富で保湿力の高い赤土であることは、不知火等の中晩柑栽培においては好条件です。良い作物を作るには生産者の日々の努力が必要なことは言うまでもありませんが、何よりも大切な要素は環境です。農業ではよく『適地適作』という言葉を耳にします。人は作物が育つことの手助けは出来ますが、本質的には土地が持つ力や、みかんの樹が持つ力を最大限に発揮させるための手助けをしているにすぎません。肥料や農薬もその一環であり、やり過ぎは長期的な環境保全の面からは逆効果になります。したがって、山上農園では慣行栽培と比較して30%減の農薬散布、化成肥料減栽培、無加温ハウス内への除草剤無使用など、環境保全型農業に取り組んでいます。

土づくり、肥料、水にこだわった栽培
ー土づくり、肥料、農薬、水にこだわった農法ー
山上農園は先代が50年以上前から柑橘栽培を行い、半世紀以上こだわって土づくりを行ってきたため、他農園が一朝一夕には真似の出来ない柑橘が出来上がります。これはコクのある大将季や不知火を作ることができる重要なポイントです。
魚粉、油粕等々の有機肥料を主とし、化学肥料を微量に抑えています。また、稲藁等々を敷き、土の乾燥を防ぐと共に、雨水の保水力を高め、常に根が水分を吸収できるような状態に保っています。また、藁そのものが圃場内の微生物により分解され、栄養価の高い有機物として良い土になる手助けをしてくれます。土壌は団粒構造のふかふかで栄養素の高いものになります。また、ハウス内には除草剤を散布せず、手間暇かけて人の手による除草を行っているので、施設内とは言え、自然に近い状態の生態系が保たれ、結果的に質の高い土で大将季や不知火(デコポン)たちが成長出来る環境が整っています。
また、ハウス内に灌水する水も、地下50メートルから汲み上げている地下水で、ミネラル豊富な水を灌水しています。通常は農業用水を灌水する農家が多いのですが、当園においては人が飲んでも健康上良いとされるミネラル豊富な上質の水を定期的に灌水しています。夏場にしっかりと灌水をすることで大玉に生育し、酸抜けが良くなり、結果的に甘みと酸味のバランスが良いコクのある大将季や不知火に仕上がります。
その他、整枝、剪定等々の樹の管理、ハウス内の気温の管理、摘果、摘蕾、枝吊り等々の管理作業を、時間を惜しまずに、愚直に、丁寧に行うことで品質を保つことができます。常に圃場を見廻り、樹勢や土壌の乾燥状態のチェック、病害虫の発生状況をチェックしています。また、果実肥大の状況を観察し、摘果した果実の糖度や酸度を定期的にチェックし生育状況を見守ります。
光センサー選果による徹底した品質管理
山上農園では生育状態の管理段階においても、出荷時の商品チェックにおいても光センサーで糖度と酸度を測り、贈答用商品化粧箱入りの商品全てにおいて品質管理を徹底し、品質のばらつきが無いように努めています。
出来上がった果実に優劣が出てしまうのが自然を相手にする柑橘栽培の厳しい面です。見た目は良くても糖度が低くコクが無いものや、病害虫によるキズ果のような格外品が出てしまいます。また、見た目は良くてもデコポン基準として定められている『糖度13度以上、クエン酸1%以下』の条件を満たせず、品種名である『不知火(しらぬい)』として販売するものもあります。山上農園では『贈答用大将季』、『贈答用不知火』、『贈答用ポンカン』、『温州みかん』については贈られる方に安心感を持って頂きたいと思い、2014年から糖度と酸度をデコポン基準値測定を行う為に『光センサー選果』を導入しました(※優品や家庭用商品は未センサー選果です)。これまでのやり方だけに頼ることなく、光センサー選果と目視選果のダブルチェックで検品する選果体制と販売体制を確立することこそが山上農園の『こだわり』です。