とんぼ農園

佐賀県 神埼市脊振町

とんぼ農園

中島武志

創業:2004年01月
食べチョク登録:2021年09月

私たちとんぼ農園は佐賀県神埼市脊振町の標高350mにある山の畑で、土作りを大切に野菜作りに向き合ってきました。
土地も技術も道具もお金も信用さえも何も無いところから新規就農して約20年。
〝理想の野菜〟を求めて失敗に次ぐ失敗…。
文字通り血と汗と涙にまみれながら経験と研究を重ね、どん底から這い上がってまいりました。
苦しみと人の優しさの中から生まれた魂の入った優しいホウレンソウをどうぞご賞味下さい。


長かった…涙

生産者のこだわり

生産者のこだわり

大自然に育てられたほうれん草

脊振の豊かな木々をはぐくむ大地、澄んだ空気、ヤマメやホタルが息づく清流、たっぷり降り注ぐ太陽の光が最高の環境を用意してくれます。
特に、使用している水は本当に綺麗です。
九州でありながら冬は雪が積る冷涼な風土は美味しいほうれん草作りに最適です。


都会で出来る事、田舎でしか出来ない事。


大自然、感謝しかございません🙇🏻

生産者のこだわり

土作りの3つの柱

とんぼ農園では「健全な根を育て、健全な作物を育む事により健康で安全安心、何より食べて美味しい作物をお届けすること」をモットーにほうれん草作りに励んでいます。

土作りの3つの柱
1、物理性(土の種類、構成物質、重さ、かたさ、空気量、水分量、団粒構造、比重、仮比重、三相割合等)
2、化学性(肥料の種類、五大要素、微量要素、濃度、土壌養分、塩基飽和度、EC、pH、CEC、腐植、C/N比、イオン、クラスター、分子、電子等)
3、生物性(微生物、酵素、触媒、土壌生物、有機物等)

この3つの柱が影響しあって良い方向へと導いてくれます。例えますと、物理性の仮比重最適+化学性のC/N比最適 →生物性の善玉菌増加 →作物の根圏の環境が良くなる →作物の根の活力が上がり、活発になる →水分や養分吸収がスムーズになる →作物の葉が厚くなる →光合成の効率が良くなる →作物内の様々なアミノ酸、グルコース(ブドウ糖)の増加 →作物が甘く、美味しくなり、日持ちが良くなる →質の良い食物残渣が土に残る →良質な残渣を善玉菌が分解 →物理性の土フカフカ →化学性のCEC増加 →…のような感じです。
ただ、同じように1つが悪くなるとどんどん悪い方向に行くのも事実ですので、ちょっとした作物の変化を全方位360度観ておかなければいけません。

化学性の分子・電子について一つ窒素を例にとりますとアンモニア態や硝酸態、アミノ酸態等いくつか種類があります。形によって電荷もプラス・マイナスが異なり、作物によってそれぞれ吸収しやすい、しにくいがあります(作物にとって好き嫌いがある感じです)。そしてそれらが電子を介して結合する訳ですが、土の中に分子単体で存在したり、様々な原子・分子と強固にまたは緩やかに結合します。これらを作物は水や根酸や微生物の有機酸でイオン化したり溶かしたり分解したりしたものを吸収します。
そこから水分量、温度、地温、作物の品種、作物の成長度合い、作物が元気なのかどうか等で窒素の吸収量がかなり変化します。土への含有量が少なければ追肥をします。ホウレンソウの場合ですと、追肥に気付いた時にはもう手遅れの場合がほとんどですので元肥一発で勝負します。

窒素を例に挙げましたがその他にもリン酸、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ホウ素、鉄、…等、それぞれが原子・分子としてくっついたり離れたりしますし、この化合物自体が水溶性、ク溶性、難容性の状態で存在し、畑のCEC(保肥力)や構成物質によっても肥料が作物に有益・有害をもたらします。
なんせ私がいくら目を凝らしても微生物はギリ見えませんし笑、ましてや原子・分子そして電子・・・。 


もはや宇宙・・・・・(*´∇`*)。


それでも土の中を想像しながら〝土作り〟を続けてます。

化学性の分子・電子のたった一項目を、現場で理解するのに多くの年月を費やしました。やはり机の上でいくら計算していても、現場では簡単にいかない事に気付かされました。
そしてそれもまだ一項目。団粒構造や仮比重、CEC、C/N比、三相、有機・無機肥料、塩基飽和度等々他にも理解しなければならない項目も山ほどありました。何年も答えが出ず迷宮入りしそうになった事も何度もあります。それでも根気強く一つひとつ結び目を解くようにやってまいりました。
それからようやく生物性にたどり着きましたが、そこは更に難しい領域となります。でもなんとかゆっくりゆっくりですが一歩ずつしっかりと着実に理解出来ていると思います。

究極の野菜を目指すには土の生物性の理解と実践の経験値は必須です。

〝土作り〟は深いですね。


土、のぞいてたら宇宙見えた笑!!

生産者のこだわり

畑=人の胃腸。善玉菌と酵素でいっぱいに

とんぼ農園の土作りは畑を人の胃腸に見たてて行っており、土中発酵させる農法になります。
その為にまずは善玉菌が快適に過ごせる環境を整えます。エサと住み家となるものを準備し、好気性菌であれば空気も必要になりますので土をフカフカにする等物理性を改善し、出来るだけ善玉菌に適した地温・水分を保ちます。EC(電気伝導度≒肥料濃度)が高すぎても善玉菌は嫌がりますし、逆に低すぎても窒素が善玉菌の活動に奪われ作物自体が窒素飢餓に陥りますので地温に合わせて適正にもっていきます。
そして善玉菌とクロレラを土に投入します。
善玉菌は主に9種類を使用します。有機物を分解し、病気を抑え、作物に有効な酵素や分泌物を生成し、根からの養分吸収を助ける等とても頑張ってくれています。それぞれ菌によって得意分野がありますのでそれぞれが活躍出来るよう環境整備はとても大切です。
畑全体にそれら善玉菌を増やす事で、健全で美味しく香り高い作物へと導いてくれます。

胃腸が綺麗で元気な人は健康な人が多いのと同じで、土が綺麗で元気であれば健全な作物が育つと思っております。

ここがとんぼ農園の肝になります。


また上記を理由に市販されている堆肥は使用しません。
それはどのような種類の菌がどのくらいの数入っているのかが不確かな為です。「善玉菌が多いだろう」「他の人が使っているから良いだろう」「調べては無いがきっと良い菌が多種類いるだろう」等曖昧な理由で使用した場合、後の検証時に結果が良かった悪かったいずれにせよ原因菌の特定が難しく、一度混和した土からは取り除く事は不可能になります。
よく分からないものは畑に入れません。
ですので畑に入れるモノはかなり吟味し、実験棟で効果を確認して、現在8種類+1種類(同種類だが効果が違う)の素性のハッキリ分かる菌を圃場に投入し、土中発酵させています。
菌の種類が確定している事でその後の原因究明が容易になり、高い位置での品質管理が出来るようになります。

溶液栽培・水耕栽培・植物工場等では生育は安定しており収穫の計算はしやすく経営的にはすごくメリットがあります。ただ人間が与えた以上の事は起き難いと思ってます。
反対に土での栽培、微生物を使っての栽培は不安定でありとても難しいものではありますが、微生物は様々な分泌物や酵素を産出し、作物の病害虫に対する防御反応を引き出し、これから発見されるであろう効果等、大きな大きな +α を作物に与えてくれます。
最近では、人の腸内環境、腸内細菌の重要性について各メディアで報じられるようになりました。研究が進むにつれ、次々と微生物による素晴らしい効果が発見されています。良い微生物や良い酵素をたっぷり含んだ土で育ったしっかりした野菜を摂る事で、腸内が良い方向へ向かって行くと思ってます。

私は微生物のミラクル感じてますし、信じてます。


菌、様様です!!

生産者のこだわり

土中バランスを良くする為の有機と無機の考え方

とんぼ農園でのメイン使用は有機肥料ですが、あえて少量の無機化学肥料を使用しています。えっ?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

有機肥料には必ずリン酸とカルシウムが含まれていて、多用するとリン酸とカルシウムが土壌にたまり、土中の栄養バランスが崩れてしまいます。土中栄養バランスが崩れると特定の養分しか吸えなくなる拮抗作用や、過剰なリン酸とカルシウムが結合して難容性となり作物が吸収出来なくなる等悪影響が出ます(日本で農業をやる上で必ずこの部分が問題になってきます。その土地のリン酸吸収係数の高低にも関係しますが)。
そこで、リン酸とカルシウムがほとんど入っていない化学肥料を入れてバランスを保ちます。サプリメントのイメージです。足りない要素をピンポイントで。
これにより有機栽培の弱点であるリン酸、カルシウム過剰をクリアしております。当園には有機栽培等の縛りはありませんので、作物にとって良いと思った事は何でも自由にチャレンジできます。

有機肥料、化成肥料それぞれメリットデメリットがあります。そこをしっかりと理解してそれらの肥料をきちんと吸わせ、厚みのある葉でしっかり光合成をさせ、アミノ酸やブドウ糖にまで変化させることで、それらを材料に更に良い葉・根が作られるというサイクルに持って行く事が出来、結果健全で甘くて美味しい作物が出来上がります。

化成肥料のみでホウレンソウを作るのは論外ですが(※化成肥料は土中の炭素を急激に消費するので、炭素が不足する。つまり微生物のエサと住み家が不足する。化成使用時は常に炭素を意識しておく。)、土中の微生物・炭素率・水分量、作物の各部位の色・濃淡・ツヤ・厚み、そして作物が何を欲しているのか何を余分に感じているのか等を具体的な数字、観る嗅ぐ触る等の五感、これまでの経験と実験結果等をフル活用して答えを導き出します。

曲がったキュウリ、細ったニンジン、尻腐れのトマト、芯腐れのハクサイ、スが入ったダイコン、先が青いイチゴ、苦いホウレンソウ等ありますが、それぞれにそのようになる理由があります。作物自体には何一つ罪はありません。それらを作ったのは人であり、人の責任です。慣行農法であろうが、有機農法であろうが、良い肥料・高価な肥料であろうが、育て方が悪かったり使い方を間違えたりすれば、上記のような可哀想な野菜になります。
また土中の養分吸収と光合成がうまくいかないと硝酸態窒素や亜硝酸態窒素(アミノ酸・ブドウ糖の変化前)の状態で植物体に溜まり食味が悪い・イガイガする・エグ味がある・苦い・特有の香りがしない、発がん性がある等、かえって身体に悪い作物になります。

消毒はなるべくしたくありませんが、害虫多い時期は本葉4枚頃までに1〜2回予防的にする事があります。ただ、収穫後の調整時には6枚程度葉を落としますので、お口に入ることはほぼありません。
冬はほとんどしません。
ハウスには防虫ネット使用。
土壌消毒はしません(大切な微生物を守るために。ハウスホウレンソウ周年栽培では稀です)。
除草剤不使用。手で草取りしてます。きついです🥹


頭、煙でます!!




そして最後に。
とんぼ農園のハウスの生産現場では、1~100まで現場の武志が管理しております。妻でさえも草取り以外は入りません。ですので、生育不良や味の乗りが悪い等があった場合は、100%私の落ち度であり、100%私の責任です。
1人で土作り、肥培管理、気温・湿度管理、播種、灌水、収穫までを管理するわけですので、土作りの重労働で面積が増やせない、収量がかなり制限される、等のデメリットが大きくあり、収入面で妻や子供達にかなり我慢してもらってます。ほんとに申し訳ないと思ってます。
しかし、その犠牲の上にメリットがあります。それはいかなる時も土・作物を “私が観る” 事ができる点です。
他の人を作業に入れない事で、1~100すべての現場の真の情報を手に入れ、それらをしっかり分析・研究し次作に活かす事ができます。変更点があればすぐさま対応できます。
それが私の1番のこだわりですし、たった3人規模の零細農家の意地です。

せっかくこの世にいただいた命ですから、農業にすべてをかけて、私にしか作れない農作物を生産していきます。

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