【あなたのお気に入りは?】赤系ぶどうのスターを探そう
目次
実は一番難しい?赤系ぶどう栽培
現在、人気のぶどうといえば「シャインマスカット」。シャインマスカットは大粒の白系ぶどうに分類され、同じグループの品種の中で最も栽培面積が広く、このぶどうを知らない人はいないのではないでしょうか。
一方、大粒の黒系ぶどうで人気があるのは「巨峰」「ピオーネ」「藤稔」など。ここ数年では「ナガノパープル」の知名度が上がり、じわじわ人気が出てきました。
そんな中、今回ご紹介するのは赤系のぶどう。
「甲州」や「デラウェア」など、小粒のぶどうは知っていても、大粒の赤系はあまり知らない人も多いかもしれません。実際、市場に流通している赤系ぶどうの品種数はそれほど多くなく、収穫量も比較的少なめです。
ぶどうの色は、皮の「アントシアニン」の量の違いもよるもので、白系ぶどうは少なく、黒や赤系のぶどうには多く含まれる傾向があります。
皮の色はぶどうの品質評価に大きくかかわっていますが、近年は猛暑や長雨の影響で着色不良が起きやすく、気候に応じて傘や袋をはずす時期を早めたり、散水などを行なって温度調整を行なったりする必要があります。
さらに、赤系ぶどうは「光」による影響が大きいため、着色向上の効果を期待して、房の上にある葉を取る「摘葉」という作業を行う場合も。また、着色のムラも起こりやすく、収穫のタイミングが難しいと敬遠されることもあります。
このようなことから、質の良い赤系ぶどうを作るためには、高い技術が必要といわれています。
オススメ品種紹介
サニールージュ
黒系の人気品種「ピオーネ」に「レッドパール」を掛け合わせたぶどうです。
ジベレリン処理によって種をなくすことができる品種で、甘く強い香りがあります。皮は少し厚めですが、皮離れが良いので、簡単にむくことができます。果肉は柔らかく、多汁。デラウェアのような味わいがあり、どこか懐かしさを感じるぶどうです。
貯蔵性はあまりよくないので、できるだけ早く食べるようにしましょう。
クイーンニーナ
「安芸津20号」と「安芸クイーン」を掛け合わせたぶどうです。こちらもジベレリン処理によって種をなくすことができます。皮が全体的に赤色に色づくのも特徴の1つです。
赤系には珍しく、巨峰やピオーネのような大粒丸型で、肉質も似ています。甘みが強く、酸味はほとんどありません。果汁も多く、濃厚。皮は厚めで、皮ごと食べやすい品種とはいえませんが、皮離れは良いです。
貯蔵性はそれほど悪くないですが、脱粒しやすいので、保存する場合は「果硬」と呼ばれる柄の部分を少し残し、1粒ずつカットしておくのがよいでしょう。
サニードルチェ
「バラディ」と「ルビー・オクヤマ」を交雑して生まれたぶどうです。
長い楕円形で、ほんのり青リンゴのようなさわやかな香りがあります。果肉はかたくて、パリッとした食感。皮離れはよくないですが、薄い皮なので、皮ごと食べやすい品種です。皮ごと食べると、リンゴを皮ごと食べているような錯覚に陥るかもしれません。
こちらも房をジベレリン溶液に浸すことで種をなくしたものが多く出回っています。
スカーレット
山梨県にある「植原葡萄研究所」で育成された、「ロザリオロッソ」と「シャインマスカット」を掛け合わせた品種です。
「シャインマスカット」の血を受け継ぐ品種はいくつかありますが、その中でも早めに最盛期を迎えます。同じ親から生まれた兄弟品種に「ヌーベルローズ」というぶどうもありますが、それより少し早めです。
粒は楕円系が多い中、ハートの様に見えるものもあります。香りは弱く、果肉は少し柔らかめ。皮ごと食べやすい品種で、皮離れはあまりよくありません。果汁は多く、さわやかな甘みがあります。
こちらも、ジベレリン処理による種なしが主流です。
甲斐路
スカーレットと同じ、植原葡萄研究所で生まれた品種で、「ゴフレームトーケー」と「ネオ・マスカット」を掛け合わせたぶどうです。
1977年に登録された歴史のある品種で、「赤いマスカット」と呼ばれ、長く愛されている人気のぶどうです。マスカットの香りがあり、上品な甘さとみずみずしさが特徴です。収穫直後はしっかりした果肉で、徐々にやわらかくなります。
皮は薄いですが、登録当時皮ごと食べる習慣はあまりなく、現在でも皮をむいて食べる人がほとんど。種はありますが、保存性に長けており、脱粒もしにくいため、贈り物などにも最適です。
クイーンルージュ®︎
「シャインマスカット」と「ユニコーン」を掛け合わせた品種で、長野県果樹試験場で育成されました。シャインマスカットよりも糖度が高いといわれ、大注目の品種です。
シャインマスカットに似たパリッとした食感ですが、皮はさらに薄く、果肉は少しやわらかめ。さわやかな甘さの後にほのかにマスカット香が感じられます。
こちらもジベレリン処理により種がないものが出回っています。
その他
まだまだ注目すべき赤系品種はたくさんあるので、ここからは概要だけ紹介します。
悟紅玉(「ゴルビー」から改名)
「レッドクイーン」×「伊豆錦」
超大粒で濃厚。早生品種。
クイーンセブン
「シャインマスカット」×「マニキュアフィンガー」
最大糖度25度にも達する早生系品種。
コトピー
「甲斐乙女」×「シャインマスカット」
シャインマスカットと同じ成熟期。
バイオレットキング
「ウインク」×「シャインマスカット」
糖度が最大23度程度になる甘い品種。9月頃出回る。
マイハート
「シャインマスカット」×「ウインク」
ハート形の粒が人気。晩生の品種。
まとめ
高度な技術が必要とされているせいか、他の色に比べて流通量が少ない赤系品種ですが、今回ご紹介した中には、通称「赤いシャインマスカット」と呼ばれ、次世代のエース候補として期待されているものも多くあります。
さまざまなぶどうを食べて、お気に入りの赤系ぶどうを見つけてみませんか。
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