牡蠣漁師さんに聞いた!<牡蠣から見た地球> 海の温度も上昇している!秋にはもう牡蠣は食べられない?

2024/12/17 更新

食べチョクでは2024年6月に、桃の農家さんに『桃の栽培に関するアンケート』を実施。その結果、どの農家さんも気候変動や環境の変化を感じている、ということがわかりました。

そこで我々はさらに調査を重ね、今回は牡蠣について牡蠣漁師さんにアンケートを行いました。生で食べるのはもちろん、バターソテーやお鍋の具材として、秋冬の食卓を彩ってくれる牡蠣。そんな牡蠣もまた、気候変動の影響を受けているのでしょうか。

そんな疑問を元に、三重県、広島県、宮城県の牡蠣漁師さん6名にアンケートを行った結果、温暖化の影響を受けていると感じる、という回答が100%に上りました。

海にも暑さの影響が……。中には3〜4割の牡蠣がダメになった漁師さんも

牡蠣漁師さんが育てている真ガキの旬は、10月から3月にかけてです。5月から9月頃に産卵を行い、その後産卵のために失った栄養を再び蓄え、おいしくなるのがこの頃。けれども、この「牡蠣の旬」に変化が見られているといいます。

原因は、海水温の上昇。秋口になってもなかなか水温が下がらず、牡蠣の身入りの時期が遅くなっているそうです。

また、2023年の夏から秋にかけては、最高気温が35度を越す猛暑日を記録する地域が多く、気象庁も「異常気象」と発表しています。中にはこれが原因で、3〜4割の牡蠣がダメになってしまった、という漁師さんも。気候の変化が、牡蠣の発育や取れ高に影響を及ぼしています。

プランクトンの変化。牡蠣が餌不足に

また、温暖化によって、牡蠣の餌であるプランクトンも減少しているそうです。

水温が上がると海の表層と深層の水が混ざりにくくなり、プランクトンの栄養源である窒素やリンが、表層部に行き届かなくなります。そのため、数が減少。そのプランクトンを餌にしている牡蠣も、栄養不足に陥ってしまうのです。

牡蠣漁師さんの対策

海水の塩分濃度や海の酸素濃度、気候、プランクトンの量など、自然環境に大きく左右される牡蠣の養殖。人の手ではどうにもできない部分が多いため、対策するのが難しいという感想の漁師さんもいらっしゃいます。

けれど、こうした状況にも負けず、全ての漁師さんが何らかの対策を行っています。

牡蠣の出荷時期をずらす

身入りの遅れに対応するために、幾つかの漁師さんは牡蠣の出荷時期をずらしているそうです。今までは10月から出荷していたものを11月や、さらに遅いと12月に移行をした漁師さんもいらっしゃいました。

暑い時期は、筏を移して対策

牡蠣には、幾つかの養殖方法があります。例えば浅瀬に棚を設置して育成する棚式養殖、海面に筏(いかだ)を浮かべて養殖をする筏式養殖、海中に籠を吊るし、その中で牡蠣を育てるバスケット養殖などです。

筏式養殖をしている漁師さんの場合は、夏の暑い時期は海水温が低い所に筏を移動し、対策をしているそうです。

その他、バスケット養殖の新しい手法を試している漁師さんもいらっしゃいます。みなさんさまざまな養殖方法を試しながら、少しでも良い牡蠣が育つように工夫をしているようです。

私たちの考える、「牡蠣のこれから」

牡蠣漁師さんのアンケート結果から、海水温度の上昇により、牡蠣の発育が遅くなっていることがわかりました。今まで秋口から食べられていた牡蠣が、冬限定の食材になる日が来るかもしれません。

また、最近好まれる傾向にある粒が大きい牡蠣の場合は、育つのに2~3年と長い月日がかかるそうです。そのため時間が必要。おいしくて大きめの牡蠣を食べたいのであれば、じっくり待つのが良さそうです。

最後に

昨今、海水温度の上昇によって魚が北上している、というニュースがよく聞かれますが、牡蠣もまた影響を受けています。

牡蠣漁師さんたちは、そんな環境の変化に対応し、少しでもおいしい牡蠣を育てようと日々努力を重ねています。そんな牡蠣漁師さんたちに思いを馳せながら、牡蠣を食べてみていただけたらうれしいです。

こだわりの牡蠣を探す

食べチョクでは、今後も「農家からみた地球」について、シリーズでお伝えしていく予定です。私たち食べチョクや農家さん、そして食卓で、今できることを長い目線で考えていけたらと思っていますので、どうぞ今後の更新をお楽しみに。

「牡蠣から見た地球」以外にも、牡蠣に関する「知らなかった」「なるほど!」な情報を集めた特設サイトも公開中。今年の秋は、食べチョクと一緒に、牡蠣をさまざまな角度から見てみましょう。

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