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未来への継承と革新 - 三瓶米こだまネットワークの使命

三瓶米こだまネットワークとは、島根県大田市にある三瓶山の周辺で、栽培期間中農薬や化学肥料を使用せず米を生産する5法人のグループ。良質なお米の生産に取り組み、「三瓶の有機米」の認知度を地域の方のみならず全国的にもあげていくことを目指しています。今回は、グループに所属する百姓天国さん、ファーム浮布さん、堀田工務店さんの3法人にお話をお聞きしました。

ー有機米に挑戦されたきっかけを教えてください。

百姓天国:百姓天国は、三瓶山北部に位置する野城集落17戸の農家が、厳しい農業環境の中で農地と地域を守るために組織した集落営農法人です。設立当初から環境保全型農業を進め、化学窒素肥料を全く使用しない「れんげ農法」による特別栽培の米づくりを行ってきました。

一方で、更に自然環境へ負荷をかけない有機栽培についても、栽培のノウハウを学んでおり、平成26年に大田市の水稲生産者として初めて、水稲有機栽培に挑戦しました。現在は山々に囲まれた谷合の棚田で、樹林から流れ出る谷川や、多くの水生昆虫などの力を借りて有機米を育てています。

ファーム浮布:わたしたちは、「人にやさしい・地球にやさしい」をモットーに三瓶山の麓にある牧場の牛糞堆肥で土づくりを行い、実ったお米の収穫作業で出る稲わらを牛の飼料として提供する循環型農業を行っています。

有機米に興味を持ったきっかけは、循環型農業の取組を進める中で多くのお客さまと出会い、「農と食・健康」の関わりと大切さを強く感じたことです。有機米は、お米づくりに適したこの地だからこそできるものであり、持続可能な農業と人々の健康を願いながら、手間ひまを惜しまずに育てています。

堀田工務店:わたしたちは、建設業と農業を家族で経営しており、田植えの時期には、保育園児から高校生までの7人の子供たちも一緒に作業をしています。この子たちが大きくなった未来へ繋げていける農業にしていこうと思い、持続可能な有機米への取組を決心しました。

ー三瓶米こだまネットワークではどのような取組をされていますか。

ファーム浮布:有機栽培はわからないことばかりでしたが、三瓶米こだまネットワークでともに学び、情報交換をしながら、令和3年に有機JAS認証を取得することができました。培ってきたつながりを更に強化し、これからも持続可能な農業を目指して切磋琢磨していきたいと思っています。

堀田工務店:今まで慣行米しか作ったことがなかったのですが、「三瓶の有機米を生産してPRしていこう」というお声がけに賛同し、今年度に加入しました。有機米は初めてなのですが、多くの人に協力してもらいながら挑戦しています。有機JAS認証に向けて、準備を進めていきたいです。

ー有機米に込める思いを教えてください。

堀田工務店:有機栽培は農薬を使用せずに栽培するため、畔の草刈りやほ場内の除草作業が増えます。除草機での対策も行いましたが、それでも間に合わず、今年の夏場は手作業で除草することもありました。有機栽培は大変ですが、収量の増加と安定化を目指し、今後は市内の保育園・小中学校の学校給食に「三瓶の有機米」を使ってもらうことを目標に頑張りたいです。

百姓天国:環境意識、付加価値、物価高騰による肥料や農薬の削減……。有機栽培をはじめるきっかけはさまざまですが、三瓶山周辺の有機栽培法人グループの旗艦法人として地域の結束を強め、良質な有機米を提供したいと思っています。今年で10年目となる有機米ですが、栽培技術の向上と共有、栽培面積を拡大するために今後も努力していきたいです。

ー今後取り組みたいことを教えてください。

百姓天国:三瓶山周辺の棚田は、標高が比較的高い場所に位置することで、豊かで綺麗な一番の水を活用できます。その一方で、自然由来の地形による長大な斜面や日照時間の短さ等、稲作の条件的には恵まれておらず、管理に手間がかかります。

大田市とも連携し、ラジコン草刈機やドローン、スマホ管理の自動給水装置、田んぼの水位や水温などを計測する水田センサーなどのICT機器を導入し、これまでの経験と勘に依拠した管理から、スマート農業への転換を目指しています。

法人としては収量アップも大事ですが、何より安全で美味しい高品質な有機米を自信と責任をもって消費者の皆様にお届けしたいです。