三瓶米こだまネットワークの成立と有機米の特徴
ー三瓶米こだまネットワークができたきっかけは何だったのですか。
三瓶米こだまネットワークは、2019年、大田市にある三瓶山の周辺で、栽培期間中農薬や化学肥料を使用せずお米を作っている3法人で始めたグループ。 良質なお米の生産に取り組み、「三瓶の有機米」の認知度を地域の方のみならず全国的にもあげていくことを目指しています。今年、構成員は5法人となり、メンバー同士で情報交換を行いながら、「三瓶の有機米」のPRの検討を行っています。有機米の販路には特に関心があり、グループで東京の商談会に参加しました。その時は、契約には繋がらなかったのですが、米屋さんや他府県の生産者の皆さんから米の品種、パッケージや流通のことなどさまざまな角度からフィードバックをいただき、とても勉強になりました。
個人では挑戦できなかった商談会も、グループであれば挑戦できる。同じ思いを持つ地域の仲間を増やすことで、より良質な有機米を提供したいと考えています。
ー三瓶の有機米はどんな特徴がありますか。
農地が三瓶山の麓にあることから、上流のきれいな「水」を使用できることがポイントです。山間部で栽培している関係で、場所によっては、平野部よりも日照時間が短いのですが、それでも食味値は平均以上であり、味には自信を持っています。有機米は生産するのに手間がかかる一方で収量が少なく、どうしても価格が高くなるのですが、毎年、お客様から「楽しみにしているよ」という声をいただき、よりおいしいものを届けよう!とやる気が湧いてきます。
ー米を有機栽培で育てる難しさはありますか。
有機栽培は、お米に害虫が発生したり病気にかかっても、農薬を使わないため、ひどい時は全滅する可能性もあります。勇気がいる栽培方法なのですが、今は経験と勘に頼りながら極力労力をかけずに収量を上げる方法を模索しています。
一番苦労するのは雑草対策です。農薬を使えば簡単に雑草はなくなるのですが、農薬を使わずいかに雑草を減らせるか、真剣勝負です。有機栽培を続けていて、最近は田んぼでトンボや昔よく見た虫がみられるようになり、昔の姿を取り戻してきたなとホッとします。
現在は、すべての農地で有機栽培ができている訳ではないのですが、少しでも有機栽培の面積を増やしていきたいと思います。そういう意味でも、「みんな頑張っているから私もやってみよう!」という農家同士が気軽に情報共有できる環境はとても大切です。
ー大田市では、このようなコミュニティの活動を支援されているのですか。
大田市では、三瓶山周辺での有機米の栽培を応援するために、2023年4月にオーガニックビレッジ宣言を出しました。これは、農林水産省が力を入れてる活動の1つであり、有機農業の生産から消費までを一貫し、農業者のみならず事業者や地域内外の住民を巻き込んだ、地域ぐるみの取り組みを進める市町村のことを言い、国は、2030年までに全国の1割以上の市町村で宣言することを目指しています。
大田市では、主に有機米の栽培の技術向上を目指しています。今年度は、田んぼにAIカメラを設置し、水温や地温のデータを収集することで、最適な栽培環境の数値化に取り組んでいます。今後、収集したデータ分析をし、誰でも手軽に有機栽培に挑戦できる環境を整えていきたいと考えています。
ー今後力を入れて行きたいことはありますか。
農家はただつくるだけ、という時代もありましたが、今は、生産から販売まで取り組んでいます。ただ、PRがあまり得意ではないので、グループで一緒になって「三瓶の有機米」をより多くの人に知ってもらい食べてもらうように取組を進めていきます。
食べチョクを活用したオンライン販売は三瓶米こだまネットワークに所属する3法人が挑戦します。「大田市で有機米を育てている農家がいるんだ」ということをまずは知ってもらい、たくさんの方に食べていただき、「三瓶の有機米」のファンを増やしていきたいです。